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「サルコペニア」と栄養について

サルコペニアとは

「サルコペニア」は、1989年に米国の学術雑誌で初めて提唱されたギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx/sarco)=筋肉」と喪失を意味する「ペニア(penia)=喪失)」を組み合わせた、高齢による筋肉量の減少を指す造語であり、この状態は、加齢により運動機能や認知機能が低下する虚弱とも言われるフレイル※1とも深く関連しています。

※1フレイル:「frailty(フレイルティー)」の日本語訳で、病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態

サルコペニアの研究

サルコペニアに関する研究の多くでは、高齢者のたんぱく質(プロテイン)摂取による効果が注目されています。

しかしながら、多くの研究が行われた結果、 たんぱく質(プロテイン) の サプリメントのみでは有意な筋肉量の増加は見られないことが明らかになりました。

また、 たんぱく質(プロテイン) の サプリメント と並行して 筋力トレーニングを同時に行っても、有意な筋肉量の増加は認められていませんでした。

さらに、生活能力の指標となる歩く速度や椅子から立ち上がる速度を用いた研究でも、サプリメント摂取と筋力トレーニングが有意な効果を示すことはありませんでした。

生活能力の低下

近代以降の日本の平均寿命の延伸には栄養改善の影響もありますが、近年では低栄養や誤った食生活が問題となってきています。特に高齢の方々はエネルギー摂取量や栄養素の不均等な摂取によって低栄養に陥りやすく、そこから体重減少や筋肉量の減少、免疫力の低下などが生じる可能性があります。

そのため、低栄養は高齢の方々の健康や生活能力に悪影響を及ぼす重大な要素であると云えます。さらに、近年の日本人の総エネルギー量や動物性たんぱく質の摂取量は減少傾向にあり、特に若年層での低下が顕著です。

高齢者も低栄養に陥りやすく、これがフレイルや生活能力の低下、感染症の罹患リスクを高める要因とされています。

そうしたなか、高齢者の低栄養を把握するためには、体重やBMIの変化といった指標の活用が有効となります。また、フレイルと低栄養の関連性を調査した研究によれば、フレイルと診断された高齢の方の約半数が低栄養リスクにあることが報告されており、そこから低栄養は健常な方と比較して有病率が高いことが示唆されています。

認知機能への影響

こうした事情から、低栄養の問題は高齢の方のみに関与する懸念事項ではなくなり、また、適切な栄養摂取が健康寿命の延伸に結節することが示されます。

他方では、栄養学的視点からの認知的フレイルに関する研究も進んでおり、欧米ではオリーブオイルを多用することで日本で知られている「地中海食」と呼ばれる伝統的な食事パターンが認知機能低下を抑制することが多く報告されています。

一方、日本では伝統的な日本食の文化が認知症発症リスクの低下と関連していることが報告されています。

国立長寿医療研究センターの研究では、青魚の成分や乳製品、大豆製品などが認知機能の維持に寄与することが示されています。同研究グループによると、食事の要素として「いろいろなものを食べる」、つまり「食品摂取の多様性」が認知機能の維持に大きな影響を与えていることを、10年間の観察研究から報告しています。

このことは、食品摂取多様性が高く、バランスよく食品を摂取する人ほど、認知機能の低下するリスクが低いことが示されています。つまり、バランスの良い食品を摂る習慣(食行動)は、脳の機能維持や認知症予防に効果的である可能性が示唆されています。

日本では、主食には米を中心とし、主菜にはたんぱく質を重視し、副菜には野菜などを取り入れた食事習慣が推奨されています。

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